- ◯嘔吐(おうと)
- 2024/11/06
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◆ 異物や毒物などを飲み込んだことが疑われるならば、動物病院に急いでください ◆
【嘔吐って何?】
嘔吐は、食べた物などが、胃もしくは小腸の入り口付近まで流れていった後に、口まで戻って吐き出されることです。
食べ物だけでなく、胃液など液体だけを嘔吐することもあります。
食べた物・飲んだ水分を全て嘔吐してしまうと、栄養や水分を摂取できず、さらなる体調の悪化につながります。
1日1回だったとしても、週に何日も嘔吐があったり、他の症状を伴うなら動物病院での早期受診をおすすめします。
特に、同じ日に繰り返し起こる頻繁な嘔吐は危険な病気・病態の恐れがあり得ますから、早めの治療が必要です。
嘔吐はしばしば起こる症状ですが、様々な条件が関係するため、嘔吐の症状だけで病気や原因を特定することは困難です。
また、嘔吐は食欲不振を伴う症例が多く、絶食状態が続くと生命の危険も考慮しなければなりません。
したがって、動物病院での検査・治療が必要になる場合が多々あります。
【嘔吐と似ているが、異なる症状】
嘔吐ではない、間違えやすい別の症状もあります。
①吐出(としゅつ)
咽頭(いんとう)(=のど)から食道付近まで入った食物や液体を排出する現象。
一度飲み込んだ後に吐き出すように見えるため、外観上は嘔吐と区別しづらい。
食餌や飲水の直後の排出は、吐出であることが多い。
吐出の場合、食物などが胃に入るまでに排出されると胃酸は混ざらない。
このため、吐出で排出されたものはpHが4以上であることが多い。(※)
(※) pH: 酸性・アルカリ性を示す単位。pH7を中性とし、pH1が最も酸性度が強く、pH14が最もアルカリ性が強い。pHは「ペーハー」とも読む。胃酸はpH1〜2程度。②嚥下障害(えんげしょうがい)
嚥下(飲み下すこと)できなかった液体や食物を排出すること。
流涎(唾液を垂らすこと)をしばしば伴う。③咳(せき)
咳の後に、過剰な粘液が喀出される現象を嘔吐と誤解される。
飼い主さんから「ノドに何か引っかかった様子で、最後に少しの液体を吐く」と言われるケースは、咳、もしくは咳が主体の問題である場合が多い。
【なぜ嘔吐が起きるの?】
嘔吐はよく見られる症状ですが、比較的軽度の問題の場合も、重篤な病気の初期症状である場合もあります。簡単に嘔吐の主な原因を説明します。
⑴胃腸(消化器)の問題
①食べ物が原因
・古くなったフード
・その動物に合わない食べ物、など
②胃腸に炎症などの不具合が起きている
・感染症(細菌・ウイルス感染など)
・寄生虫
・アレルギーや自己免疫の病気など
③異物
・消化できない異物が胃内の刺激になる
・異物が腸を詰めてしまい(腸閉塞)、食べた物などが流れて行かない
④胃腸の閉塞
・腸重積など、異物は関係なく胃腸の一部が詰まって、食べた物などが流れて行かない
⑤胃腸の腫瘍
⑥その他
⑵胃腸以外の問題
①肝臓の病気
②腎臓の病気
③膵臓の病気
④ホルモンの病気
⑤神経の病気
⑥毒物中毒
⑦薬剤
⑧その他
【ご家庭でできることは?】
◆ 異物や毒物などを飲み込んだことが疑われるならば、動物病院に急いでください ◆
原因の中で、ご家庭で推測、確認ができそうなのは
・古くなったフード
・初めての食べ物
・散歩中の拾い食い
・異物を飲み込んだ
・殺虫剤や肥料などを口にした
・乗り物酔い
…などでしょうか。異物や殺虫剤・毒物などが原因である可能性があるなら、すぐに動物病院での受診の必要があります。
散歩中の拾い食いも、何を食べたか不明な場合が多いと考えられますので、動物病院に行かれることをおすすめします。
フードなどの食べ物の問題を疑うなら、口に入るもの全てについて、嘔吐と関連していないか検討します。
主食、オヤツの区別は関係無く、全ての食品を疑います。
もちろん、外出先でもらった食べ物も対象になります。
嘔吐の原因について、ご家庭でも心当たりを検討することは必要ですが、嘔吐が繰り返されるなら、動物病院での受診をおすすめします。
特に、動物の元気がなかったり、他の症状を伴うなどなら、必ず早めに動物病院で診察を受けましょう。