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  • イヌもネコも元々肉食動物なので、肉だけを与えていれば良いですか?
  • 2025/07/22

  • イヌもネコも元々肉食動物なので、肉だけを与えていれば良いですか?

    いけません。「肉食」の意味を誤解されています。「肉だけ」の食餌は健康を害しますのでやめてください。

     「肉食」の意味を誤解されていると思われるケースが多く見られます。
     もしかすると動物関係の情報の中でも、世間で最も誤解されている点かもしれません。
     「肉食動物(捕食動物)」という名称から、スーパーマーケットやお肉屋さんで販売されている「パックされた肉」だけを食べる動物のように想像されることが多いようですが、これは誤解です。


     みなさんが「肉」と呼ぶものだけを食べる生き物ではありません。
     スーパーマーケットで売られているパックされた肉は「筋肉」であって、食べられる側の生き物(獲物)の、身体の一部でしかありません。
     「筋肉」以外の「内臓」や「血液」「皮膚」「骨」など、他の部位のことは、存在を忘れられているようです。
     肉食(捕食)動物が獲物を捕まえた場合、よほど体格が巨大な獲物でなければ、丸ごと食べてしまいます。
     筋肉だけでなく、それ以外もすべてを食べるのです。
     巨大な獲物でも、大きな骨以外の大部分を食べ尽くします。
     そもそも、「肉食(捕食)動物」という名称は「他の動物を捕食する生き物」という意味であって、「草食(植物食)動物」の対義語です。
     決して、筋肉だけを選んで食べるという意味ではありません。
     例えば内臓は欠かすことができない大切な食料です。
     獲物は草食(植物食)動物である場合が多いのですが、内臓の大半を占める消化器の内容は、当然多量の植物やその消化物が含まれているわけですから、間接的に植物由来の栄養も摂取していることになります。

     そしてその植物由来の栄養素も重要になります。
     実際に、捕まえた獲物を食べる順序は筋肉よりも先に内臓から食べ始めることが多いようです。

     筋肉だけを食べ続けているとタンパク質の過剰摂取になり、リンとカルシウムのバランスが極端に悪く、ビタミン類や他の栄養素などは不足し、健康を保てなくなります。
     腎臓などの負担はかなり大きくなる恐れがあります。
     飼い主さんが「肉食動物」の意味を誤解したために、「肉」つまり「筋肉成分」ばかりを過剰に与えられる一方で他の栄養素はおろそかになってしまい、結果的に栄養のアンバランスが原因の健康障害に至るイヌやネコがいると思われます。
     また、ヒトは自分が好きな物は「(体に)良い物」と考える傾向があるようですから、肉好きの飼い主さんは、なおさら自分の動物にも「肉」を与えがちなのかもしれません。

     なお、ネコは捕食(肉食)動物の性質が強いですが、イヌはその祖先のオオカミも含め捕食動物よりは雑食に近い食習性で、植物性の食材も食べます。

     「捕食動物」「植物食動物」という名称の方が、上記のような誤解が起こりにくく好ましいと思われますが、一方で世間一般では「肉食系○○」「草食系■■」のような「肉食」「草食」という表現を好む傾向が強く、標題のような「『肉食』に関する誤解や、間違った思い込み」は、おそらく今後も次世代に受け継がれてしまうことになりそうです。

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