- 子犬を購入した時に「鼠径(そけい)ヘルニアがある」と説明されました。手術が必要ですか?
- 2025/09/17
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子犬を購入した時に「鼠径(そけい)ヘルニアがある」と説明されました。手術が必要ですか?
まず、動物病院で受診されることをお勧めします。本当に鼠径ヘルニアであれば、手術は必要と考えられますが、鼠径ヘルニアではないケースもあります。
鼠径ヘルニアは、子犬に限らずあらゆる年齢の動物に発生します。
鼠径ヘルニアの「鼠径」とは、ふとももの内側の付け根の辺り、ふとももとお腹のさかいめ付近のことです。
この場所には、鼠径管(そけいかん)と呼ばれる細い筋肉の隙間があり、血管などが通っています。
参考までに、男性の精巣は胎児期に腹腔(ふくくう)( = お腹の中)で発生し、成長とともに鼠径管を通過して腹腔から皮下へ、最終的に陰嚢(いんのう)( = 精巣が入っている袋状の皮膚)へ移動します。
鼠径ヘルニアは、この鼠径管もしくはその周辺の筋肉の隙間が拡大して腹腔の臓器などがとび出してきた状態で、外観は鼠径部の皮膚が膨らんで見え、左右どちらかだけ(片側性)の場合もあれば、両側性の場合もあります。
とび出た臓器が鼠径管の部分で絞扼(こうやく)( = 締め付けられること)されると、その臓器が壊死する恐れもありますから、絶対に放置してはいけません。
まず、動物病院で確認することをお勧めします。一方、この部位もしくは周辺には元々「鞘状突起」や「精巣鞘膜」と呼ばれる正常な構造物やリンパ節などがあり、その大きさによっては皮膚が膨らんで見えないこともありません。
これを鼠径ヘルニアと勘違いされることがあります。
「子犬を購入した時に、両側性の鼠径ヘルニアがあると言われた」というケースで、実際には鞘状突起などの正常構造であった例も珍しくありません。
腹腔から陰嚢へ移動途中の精巣を、鼠径ヘルニアと誤解された例もあります。
なお、鼠径ヘルニアは犬の方が猫よりも発生が多く、メス犬の方がオス犬よりも発生しやすいと考えられています。鼠径ヘルニアが疑われる場合は、早めに動物病院で受診してください。