- ○咳(せき)
- 2024/10/29
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【咳って何?】
通常の呼吸とは異なり、肺から勢いよく空気を排出する現象を咳と呼び、やや大きめの音をともないます。
咳は、勢いよく空気を駆出することによって、気道(呼吸のための空気の流通路)のうち、特にのど〜気管〜気管支の内部をクリーニングし、呼吸しやすくするための行為です。
気道に好ましくない物質があったり、気道が狭くなると、呼吸困難を起こす恐れがあり、窒息死に至る可能性さえありますから、咳は正常な防御反射と言えるでしょう。
咳をすることで呼吸困難を防いでいる場合もあるわけですから、単純に咳を止めることが大事なのではなく、咳が起きる原因を鑑別し、その原因に応じた対処が必要になります。
◉ここが重要◉
飼い主さんが『ノドに何か引っかかったような…』『痰がからんだような…』と言われる症例の多くは咳です。
人間の咳と比較して、動物の咳に特別変わった特徴は無いのですが、咳と認識されない飼い主さんが少なくないので、呼吸関連の症状があれば、まず動物病院で受診されることをお勧めします。
ご来院の際は、症状の動画を撮影できれば、お持ちいただくと参考になります。【なぜ咳が起きるの?】
呼吸の妨げになる状況を改善するための行為ですから、気道を狭くしたり、刺激したりする原因があるはずです。
専門的には、上部気道、下部気道、心血管系の組織・器官別に分類して鑑別しますが、ここでは簡単に原因を列挙していきます。⑴呼吸器の問題
①感染症(細菌、ウイルス感染など)による炎症
咽頭炎、扁桃炎、気管炎、気管支炎、肺炎 など
②アレルギー/免疫系関連
③構造の問題
気管虚脱 など
④腫瘍
⑤異物
⑥外傷や物理的障害
ガス、煙、その他の刺激物の吸引 など
⑦その他⑵心血管系の問題
心臓病のために、肺に関連した重要な血管に高血圧がかかるなどの機序で、様々な症状のひとつとして咳が起きるようになります。
①心不全
②犬フィラリア症(ネコも感染あり)
③その他
【ご家庭でできることは?】
自宅で飼い主さんができることは限られます。
ご家庭では原因がわからないことが多く、効果的な対処もできないでしょう。
比較的元気に見えても、運動制限し、興奮を避け、安静にするべきです。
咳が出るということは、呼吸器や心臓などの問題が疑われるのですから、急変すると生命の危険もあり得るので、早めに動物病院で診察を受けてください。
特に、咳だけでなく、呼吸困難をともなう場合は非常に危険ですから、動物病院に急いでください。