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  • ○成長期の動物には、フードにカルシウムなどを添加した方がいいの?
  • 2025/12/26
  • 成長期の動物には、フードにカルシウムなどを添加した方がいいの?

    基本的に必要無いと考えていいでしょう。「総合栄養食」の基準を満たした成長期用フードを与えていれば、ほとんどの動物にはそのフードと新鮮な水だけで十分です。

    【「総合栄養食」と水だけで、ほとんどのイヌ・ネコに必要な栄養素が十分摂取できます】

     ひと昔前までは、子イヌの食餌にいろいろな添加物をサプリメントと称して与える風潮がありましたが、「総合栄養食」のフードを与えていれば、大半のケースでその必要はありません。

     総合栄養食とは、「新鮮な水とそのフードを与えるだけで、動物の健康な身体を育成できる世界的な栄養基準」を満たした動物用の食べ物です。

     少し話がそれますが、1980年代以前に比べて現在のイヌやネコの平均寿命が長くなったのは、伝染病予防ワクチンやフィラリア予防などが普及しただけでなく、総合栄養食のような優れたフードの登場が貢献していると考えられています。

    【カルシウムの過剰摂取は健康被害が起こる恐れがあります】

     カルシウムの添加については、おそらく昔の飼い主さんたちが、「成長期には骨が伸びる →骨の成長にはカルシウムが必要 →カルシウムが不足すると成長に障害が起こるかもしれない →カルシウムを添加しなければならない」という思い込みで始めた習慣なのでしょう。

     ところが、総合栄養食あるいは総合栄養食以外のほとんどのフードでも、動物が利用可能な量を満たすカルシウムが昔から含まれていました。

     つまり、総合栄養食かどうかに関わらず、どのようなフードを食べていても、現実にはカルシウム不足は起こらなかったのです。

     ひと昔前の飼い主さんたちの思い込みだったということでしょう。

     それどころか、過剰なカルシウム摂取はかえって骨の成長に悪影響が起こる可能性が指摘されています。

     また、カルシウムを生体内で利用するにはリンとのバランスが重要なので、昔のようにカルシウム単体を添加するようなことは合理的とは言えません。

     これらの科学的根拠から、現在ではカルシウムの添加を勧められることはほとんど無いでしょう。

     健康状態や体質に問題が無い動物については、総合栄養食を与えていれば、カルシウムに限らずその他の「栄養剤」や「サプリメント」と呼ばれる添加物も基本的に必要無いはずです。

     身体に必要な栄養素でも、過剰に与えると害があったり、栄養素同士のアンバランスが起こりかねないので、特別な理由が無ければ添加物を与えなくて良いでしょう。

     なお、離乳時期の子イヌや子ネコのフードに動物用ミルクを添加するのは、母乳に似た風味を加えることによって子イヌ・子ネコが生まれて初めて食べる食餌(フード)に慣れやすくすることが目的で、栄養補助の意味ではありません。

    【昔に比べて動物用フードは改良・改善されています】

     現在、イヌやネコのフードについては長年の研究の積み重ねによって、信頼度が高い栄養基準が設けられています。

     総合栄養食のフードメーカーはその栄養基準に基づいて動物用フードを製造しています。

     このようなメーカーでは、サプリメントなどを添加しなければならないような不完全なフードを意図的に作る必要はありません。

     そもそも、何かを添加しなければいけないようなフードであれば、総合栄養食の基準に合格できません。

     現在の総合栄養食メーカーが製造するフードは完成度が高いと考えて良いでしょう。

     また、昔は知られていなかった重要な栄養素の問題も次々に解決されています。

     例えば1970〜80年代頃には、ネコの「タウリン欠乏症」(※)が問題になりましたが、その経験をもとに現代のキャットフードには十分なタウリンが含まれているため、近年はキャットフードが主食のネコではタウリン欠乏症例を診る機会はほとんど無くなりました。

     このタウリンの例ように、総合栄養食の動物用フードは新しい知見によってアップデートを積み重ねており、特殊な体質や病気を除いて、サプリメントなどを添加する必要が無いように製造されていると考えて良いでしょう。

    (※)⦅ネコのタウリン欠乏症とは?⦆

     一般的哺乳類に必要な必須アミノ酸に加えて、ネコにはタウリンが必要です。

     ネコはタウリンを体内合成できないためです。

     タウリン不足によって「網膜変性」「繁殖障害」「心筋症」「神経障害」などの症状が現れることがあります。

     イヌはタウリン欠乏症が起こらないため、総合栄養食であってもドッグフードのタウリン含有量は多くありません。

     このため、ネコに主食としてドッグフードを与え続けた例などではタウリン欠乏症が起こる恐れがあるようです。

     また、手作り食を与えられているネコでは、飼い主さんにタウリンについての知識・情報が無い場合、タウリン欠乏症が起こる可能性があると言われています。

     先天的に「タウリン吸収障害」があるネコではタウリン欠乏症があり得るようですが、発生率は不明です。

    【サプリメントなどを与えたくなる別の理由:飼い主心理】

     フード以外にサプリメントなど何らかの添加物を与える理由のひとつは、実は栄養の過不足の問題ではなく、飼い主さんの心理がそうさせているケースがあるようです。

     「手作りの食べ物を動物に与えるのが主流だった時代」を経験した世代の方は、ペットフードと水だけの食生活を「味気ない」「物足りない」「本当に十分な栄養があるのか」と感じやすく、何かしら手を加えたい欲求が生じるようです。

     実際に飼い主さんご自身から、そのような発言を伺ったことが過去に何度もあります。

     自分たち人間が毎日色々な食べ物を味わって生活している一方で、動物たちには単一のフードだけしか与えないことに気がとがめるのかもしれません。

     このような心理から、主食のフード以外にオヤツやサプリメントなどを与える習慣が生まれた可能性はあると思われます。

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