- ノミの寄生被害を受けました。草むらに入っていないのにどうしてですか?
- 2025/07/29
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ノミの寄生被害を受けました。草むらに入っていないのにどうしてですか?
草むらで寄生を受けるのはマダニです。ノミはピョンピョン飛び跳ねて動物から動物へ簡単に移動できるので、草むらに入らなくても寄生は成立します。
草むらの中で、動物に寄生する機会を待つ必要があるのは「マダニ」です。
マダニは運動能力が低いため、待ち伏せするしか動物に寄生する方法がありません。
マダニは雑草の葉の先端などに乗って動物が通りかかるのを待つのです。一方、ノミは運動能力が高く、ピョンピョンと飛び跳ねて素早く移動できます。
このため、ノミは草むらなどの中でじっと待ち伏せする理由は無く、近くにいる動物やヒトに寄生するために、ノミの方から移動して来ます。
「草むらに入るとノミが寄生する」という話をしばしば耳にしますが、これはおそらくノミの情報とマダニの情報が混同されて伝わったのでしょう。【ノミは自分から積極的に移動して寄生します】
一時的に道路や草むらにノミがいる場合はあると考えられますが、動物が草むらなどに全く入らなくても、ノミの寄生は起こります。
実際には散歩などの外出時に、他の動物に寄生していたノミが別の動物に移動して寄生が成立するケースは少なくないと考えられます。
他の動物と直接接触しなくても、ノミは飛び跳ねて移って来ます。
ドッグランやドッグカフェ、ペットホテルなどに行った際にノミの寄生が起きたなら、この場合も他の動物からノミが飛び跳ねて移動して来たと思われます。
また、ノミ予防を実施していない地域ネコ・野良ネコ・外出自由な飼いネコなどが多い地区では、寄生・繁殖しているノミの数も多い可能性があります。
このような地区では、草むらに野良ネコなどが潜んでいれば「草むら付近に近づいてノミをもらってしまう」こともあるでしょう。【室内でノミが繁殖すると絶え間無く寄生被害が続くことがあります】
ノミは昆虫なので、卵 → 幼虫 → サナギ → 成虫 の順に成長します。
そして動物やヒトに寄生するのは成虫だけです。
成虫以外は動物やヒトの周囲の環境で生きており、殺虫剤などではすべてを殺滅するのは難しいと言われています。
室内でノミの繁殖サイクルが成立すると、次々にノミが増加することになります。
室内では夏の高温、冬の低温をしのぐことができるため、ノミが1年を通して存在できるのです。
動物病院で処方されるノミ・マダニ駆除剤を使用すれば、繁殖サイクルを安全に断ち切ることも可能で、ノミを室内から駆除することができます。【室内にいても、高層マンションでも、ノミの寄生被害例はあります】
ノミが寄生している動物が多いなど、周囲の環境にノミが多いと考えられる場合、住宅の一階ならノミが屋内に侵入することもあります。
室内の動物やヒトを寄生目標として、侵入しようと飛び跳ねたノミが網戸にぶつかり、注意深く観察すると、網戸にわずかな振動が発生するのがわかる例もあります。
高層集合住宅の上層階でも、全く外出しない動物がノミの寄生被害を受けた例はあります。
おそらく、同じ階の別の住人の飼育動物が外部から持ち込んだノミが、飛び跳ねて拡散した可能性があるでしょう。【飼い主さんがノミを見つけなくても、寄生されている可能性はあります】
ノミは前述のとおり運動能力が高く、環境中ではピョンピョン飛び跳ねますが、動物やヒトに寄生すると、皮膚上を素早く走ります。
動物の皮膚上を素早く移動する2㎜程度の大きさの虫がいれば、ノミである可能性が高いでしょう。
ノミ虫体を確認できなくても、動物の皮膚上に黒い小さな顆粒状の汚れが付着していると、それはノミの糞である可能性があり、ノミの寄生を強く疑います。
いずれの場合も、皮膚の痒みを伴っているのであれば動物にノミが寄生している可能性が極めて高いので、直ちに動物病院でノミの駆除を相談してください。
飼い主さんの判断が難しい場合でも、動物病院で受診することによりノミの寄生を確認できる例は多いので、早めの受診をお勧めします。【効果的なノミ・マダニ駆除剤を利用すれば寄生被害を防止できます】
動物病院で処方されるノミ・マダニ駆除剤を定期的に投与することでノミ・マダニの被害は防止可能です。
ただし、ノミ・マダニ駆除剤はある程度の年月使用し続けると、効果が低下する場合があります。
これは薬剤が劣化したのではなく、特定の薬剤に耐性を獲得した「耐性ノミ」が現れることがあるからです。
耐性ノミが持つ抵抗力により、その薬剤では駆除できなくなります。
動物の肩甲部に液剤を滴下・塗布する「スポットタイプ」のノミ・マダニ駆除剤が1990年代に普及したのは、それ以前に主流だった「ノミ取り首輪」の薬剤の効果が低下したからであると言われています。
現在はさらに「スポットタイプ」の薬剤に代わって、内服薬のノミ・マダニ駆除剤が主流です。
動物病院で処方される内服薬のノミ・マダニ駆除剤は最新の世代の薬剤で、安全性・有効性ともに良好な結果が得られています。