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  • 動物は言葉がわかるの?
  • 2025/06/10
  • 動物は言葉がわかるの?

    イヌやネコは飼い主さんが発する言葉の「単語」は覚えると思われますが、「文章」を理解できるかは疑問があります。

     「おすわり」や「ふせ」など飼い主さんからのコマンド(命令)に正確に従うイヌは、みなさんもご覧になったことがあるでしょう。
     コマンド以外でも、イヌにとって直接関係がある日常の言葉を覚えるケースは多いと思います。
     散歩が好きなイヌなら、飼い主さんが発した言葉の中に「散歩」というキーワードが含まれていると、喜ぶことがあります。
     お風呂・シャワーが苦手なイヌなら、「お風呂」という言葉を聞くと逃げてしまう例もあります。
     他にも飼い主さんが教えたつもりはない言葉でも、理解していることは珍しくありません。
     簡潔な言葉であれば、キーワードとしてそれが意味することを覚えると考えられます。

     これが文章になると状況が変わります。
     「散歩に行こう」と「散歩はやめよう」の区別はつかず、文章の中に含まれた「散歩」というキーワードだけに反応する場合があります。
     この例では、同じ「散歩」というキーワードを使った「肯定的な文章」と「否定的な文章」の違いが理解できていないようです。
     個々のイヌの能力の差もあると思われますが、文章として理解することは不可能と断言はできないまでも、かなり難しいと考えられるのです。

     これらの状況を考慮すると、日常の意思疎通を潤滑に行うためには、イヌにとって区別しやすく簡潔な言葉を使う方が誤解されにくいはずです。
     語感が似ている言葉を、全く別の意味・目的としてイヌに対して使うのは避けた方がいいでしょう。
     例えば「トラ」という名前の動物を叱るときに「コラ!」という言葉を使うと、「名前」と「叱られる言葉」の語感が似ているため区別できず、動物は「名前を呼ばれたのに叱られた」と誤解して名前を呼ばれると逃げるようになってしまうことがあります。


     話がそれますが、動物を叱る必要があるときには名前を呼んではいけません。
     これはしつけの基本中の基本で、動物の立場で想像すればすぐにご理解いただけると思います。
     動物は自分の名前という単語を「叱られるキーワード」として覚えてしまいます。
     一度そう覚えてしまうと、名前を呼ばれた動物は叱られると思って飼い主さんを避けるようになる恐れがあり、そのような事例が実際に起きています。
     これらの情報からも、イヌが誤解してしまう事例も含めて、簡潔な言葉なら覚えて理解する能力をイヌが持っているのは確実だと言えるでしょう。

     

     ネコもイヌと同様にある程度の単語を覚えると思われます。

     ただし、ネコは服従性(リーダーに従う性質)が希薄であるため、飼い主さんのコマンドに従うイヌのような行動は期待できませんから、評価が難しいのです。
     ただし、評価が難しいから、言葉を覚えないと決めつけることはできません。
     名前を呼ぶと近づいてきたり、まるで返事をするかのように鳴き声で呼応することもありますし、「ごはん」と言えば、食餌の容器を置く場所へ移動するなど、ネコがキーワードを覚えていると考えられる日常の行動はしばしば見られます。
     そもそもイヌ同士、ネコ同士では意思疎通のために言語を使用しているわけではなく、ヒト特有のコミュニケーション方法である「言葉」を理解しなくても生物として不都合は無いはずです。

     一方でヒトの社会に入り込んで生活している現代のイヌやネコにとって、ヒトとの関係が重要であるのも間違いなく、そのためにヒトの「言葉」を認識するという高度な能力を発揮していると言えるでしょう。

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