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  • ○ネコの足音が大きくなってきたのは異常ですか?
  • 2025/04/22
  • ネコの足音が大きくなってきたのは異常ですか?

    異常が起きている可能性がありますので、動物病院での受診をお勧めします。
     ネコは、イヌやヒトよりも身体や動きがしなやかで、一般的なネコではわずかな足音が聞こえるかどうかです。
     以前よりも足音が大きくなったと感じられる場合は、異常が起きている可能性があります。
     また、ネコを複数飼育されているご家庭では、他のネコと比べて足音が大きいかどうか比較できるので、異常の発見が早いかもしれません。

     ネコの足音が大きくなる原因は、「関節障害」「爪の問題」「過剰な体重」などが考えられます。
     これらの原因は単独ではなく、それぞれが影響し合うこともあります。
     「関節障害 →  運動量の低下 →  体重の増加」「関節障害 →  爪研ぎ不足 →  爪の伸び過ぎ」「過剰な体重 →  関節障害」などは実際にあり得る関連性です。

    【関節障害】
     足音が大きいネコでは、関節障害がしばしば見られます。
     足音が大きい以外にも、「歩行速度が遅い」「高い所に登らなくなった」「爪とぎをしなくなった」「階段の昇り降りやトイレの出入りをためらう」などが見られると、関節障害が始まっている可能性があります。
     ネコは痛みを隠すことがあり、明らかな跛行(はこう)( = 肢をかばって歩くこと)は見られなくても、関節の痛みや不調を感じている場合は多いのです。
     特に高齢のネコでは、老化にともなう筋力低下も重なり、歩行に影響している場合があります。
     痛みを軽減する治療などで、快適な生活が取り戻せる可能性はあります。

     一方、比較的若齢で見られる関節障害は遺伝性の障害が疑われます。
     代表的な遺伝性関節疾患はスコティッシュ・フォールドの「骨軟骨形成不全症」または「骨軟骨異形成症」です。
     ほとんどの「折れ耳」のスコティッシュ・フォールドには、この「骨軟骨形成不全症」が起こることが2010年頃には報告されています。
     スコティッシュ・フォールドの関節疾患が遺伝性であることは1900年代から指摘されており、折れ耳でなくてもスコティッシュ・フォールドと血縁のあるネコは、関節障害が起こる可能性があると考えられます。
     症状は1歳未満から始まる場合があり、跛行や関節の変形・腫れなどが見られる例も珍しくありません。
     他の疾患も含めて、遺伝性関節疾患の根治は困難なので、対症療法が現実的な治療になります。

    爪の問題】
     爪の変形や伸び過ぎが原因で、歩行に悪影響が起こる場合があります。
     伸び過ぎた爪が巻き込むように肉球に刺さってしまう例はしばしば見られます。
     爪が伸び過ぎて床に当たるようになると、床材の条件にもよりますがコツコツという固い音が歩行時に発生することがあります。
     高齢のネコでは爪の伸び過ぎがしばしば見られ、甲状腺ホルモンの過剰症などが関連している場合があります。

    【過剰な体重】
     体重が重過ぎて、足音や段差を飛び降りた際の着地音が大きくなるのは、四肢の筋力などが体重を支えきれない状態が考えられます。
     通常の歩行の足音はそれほど気にならないが、高い所から飛び降りた音が大きくなった場合なども体重の問題かもしれません。
     結果的に関節障害はもちろん、心臓の負担やその他内臓疾患にも波及する恐れがあります。

     なお、この記事で言う「過剰な体重」とは、単純に肥満であるということでなく、その動物の筋力や関節の状態を考慮したうえで、適切な体重を超えている場合を意味します。

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