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  • ○熱中症【2026改定版】
  • 2026/06/11
  • 【熱中症とは】
     人間やイヌ、ネコ、ウサギなどの哺乳類の生き物は、体温を常に一定に保っています。
     環境の気温が高くても低くても、ほぼ同じ体温を維持することができます。
     ところが、極端な高温や低温に長時間さらされると体温調節機能が追いつかず、高体温や低体温になってしまいます。
     体温が高くなり過ぎると、脱水・血液循環不全・呼吸不全など身体に様々な異常が起き、重症になると死亡することもあります。
     これが熱中症です。
     具体的には、重度の熱中症で体温が43℃を超えると身体を構成するタンパク質の変性が始まり、全身の組織が元に戻らないダメージを受けて死に至ると言われています。
     焼肉が元の生肉に戻らないのと同様に、熱中症によって身体のタンパク質が変性すると、組織は元の状態に戻ることができなくなるのです。
     人間は気温が高いと汗をかき、汗が蒸発する時に身体の熱を奪うこと(気化熱)を利用して体温を下げる調節ができますが、汗をほとんどかかないイヌやネコはこれができません。
     正確には、イヌやネコにも汗腺(かんせん)という名称の組織は存在しますが、人間のように全身から多量の汗をかくような機能はありません。
     汗をほとんどかかない(汗量が少ない)動物は、肺の中の暖かい空気を吐き出し、体温よりも低い温度の外気を吸って身体を冷却することが主な対応になります。
     (ウサギなどは大きな耳(耳介)から熱を放散すると言われています)
     また、動物の多くが人間に比べて高密度の体毛でおおわれているのも、身体から熱を放散するのに不利な条件です。
     このような理由で、動物の熱中症は起こりやすいと理解しておくべきでしょう。
     また、真夏の猛暑ではなくても、まだ暑さに慣れていない初夏に気温が急上昇すると熱中症は起こりやすくなります。
     実際に2026年も5月には熱中症によると思われる動物の死亡例が報告されています。


    【熱中症の症状】
     ◆下記の体温の数値は目安です。
     初期 : 開口呼吸(口を開けて呼吸)、粘膜の充血 体温40℃超

     中期 ① : 呼吸速拍(呼吸が異常に速い)、皮膚の充血、体温41℃超
        ② : ①が持続すると、呼吸困難、意識混濁など

     重症期 : 意識障害、嘔吐、けいれん、多臓器不全、脳障害など 体温42℃超

     末期 : 体温43℃超、不可逆的な(元に戻らない)組織の変性→死亡

     《他に発熱の原因(感染症や腫瘍など)が無い条件での、高体温状態を想定しています。》


    【ご家庭での熱中症の対応】
     ◆熱中症が疑われる場合は動物病院の受診を第一に考慮するべきですが、家庭での応急処置は以下のとおりです。◆
     ●まず、体温を下げることを考えましょう。
     ①暑い場所にいるなら、日陰で風通しが良い涼しい場所に移動させる。
     ②常温の水(※)をかけ、風をあてる。
      ※必ず常温の水を使いましょう。
       冷水は血管が収縮して、熱を放散しにくくなります。
       ショックを起こす恐れもあります。
     ③タオルで包んだ保冷剤で首、腋下(えきか)、鼠径(そけい)を冷やす。
      腋下 : 前足の付け根の内側(ワキの下)
      鼠径 : 後足の付け根の内側(内股)
     ●飲水が可能なら飲ませても良いですが、意識障害などがあると誤嚥の恐れがあるのでやめましょう。
     ●応急処置はとりあえずの対応でしかありません。
      熱中症を疑う場合は必ず動物病院で受診しましょう。
    ◆重度の熱中症は適切な治療を受けても死亡率が高いので、重症になる前にできるだけ早く受診されることをお勧めします。◆


    【熱中症の予防】
     ⑴室内
     ●動物の居場所の温度を26℃以下に保つ。
      ※ エアコンの設定温度ではなく、動物の周囲の実際の温度のことです。
       エアコンの性能、部屋の構造、窓や家具の位置などで、実際の温度は異なります。
      ※ 基礎疾患があって体調が悪い動物は、冷え過ぎにも注意が必要です。
     ●暑さ、涼しさに応じて動物が居場所を選べるようにする。
      ※ 停電や故障などでエアコンが停止する場合も想定しておくと良いでしょう。
     ●日光が直接当たらないようにする。
     ●飲み水を絶やさない。
     ●エアコンが無い状況なら、できるだけ風通しを良くする。

     ⑵屋外
     ●日向を避ける。
     ●日陰でも高気温の環境下に長時間滞在しない。
     ●こまめに飲み水を与える。
     ●状況によっては動物の身体に常温の水をかけ、風をあてる。

     ⑶車内
     ●日光が直接当たらないようにする。
      ※ エアコン稼働中の車内でも、ガラス越しの日光が当たる状況で熱中症が起きた事例があります。
     ●外気温が25℃以上なら、自動車内に動物を残さない。
      ※ 興奮しやすい動物、呼吸状態に問題がある動物は、25℃以下でも危険な場合があります。

     ⑷熱中症になりやすい動物の条件を把握しておきましょう
     ●短頭種(鼻が短い種類)
      鼻が短い動物は、呼吸による体温調節がうまくできず、熱中症のリスクが高いと考えられます。
      例 イヌ : パグ、シーズー、フレンチブルドッグ など
        ネコ : ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘア など
     ※ 一般的にチワワを短頭種とみなさない方も多いと思われますが、呼吸の問題が起こりやすい犬種として知られており、熱中症の危険性も高いと想定しておく方が良いでしょう。
     ●肥満
      標準体型の動物よりも、冷やさなければならない肉体が大きいため、体温調節が追いつかない恐れがあります。
      余分な脂肪が圧迫することで、呼吸機能自体が低下しやすいと考えられます。
     ●呼吸器疾患、循環器疾患
      呼吸状態の悪化により、呼吸による体温調節能力が低下している恐れがあります。
     ●高齢
      呼吸機能が低下することにより、呼吸による体温調節能力も低下している恐れがあります。
      認知機能不全の動物は、体温調節がうまくできない恐れがあります。
      関節障害や筋力低下などがあると、高気温の場所を避けて適温の場所へ自力移動することができない可能性もあります。

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