loader image
  • ○動物の「甘噛み(あまがみ)」は、やめさせなくて良いのですか?
  • 2026/05/01
  • ● 人間の身体を噛んではいけないことを教えるべきです。甘噛みと思っていた習慣が、おとなの動物に成長した時の噛み癖(かみぐせ)にエスカレートする例があり、噛まれた人間の負傷や感染症などの恐れがあります。
     イヌやネコなどの動物が、遊びながら、甘えながら、飼い主さんの手などを軽く噛むことを「甘噛み」と呼ぶことがあります。
     特に子イヌや子ネコがじゃれついてくると、かわいさのために甘噛みを許してしまうことがあるかもしれませんが、好ましい習慣ではありません。
     原則として人間の身体に歯を立てることは禁止することをお勧めします。

    【飼育動物が人間を噛むのは好ましくない行動です】
     一般的に、動物に噛まれて喜ぶ人はいないと考えるべきです。
     当然、動物に噛まれたことにより感染する病気の危険性もありますし、世間には動物が苦手な方や動物アレルギーの方がいらっしゃることも考慮しなければなりません。
     先々、噛み癖がエスカレートして他人を噛んだ場合には、事故や事件、訴訟などになる恐れすらあります。
     また、現在はイヌ・ネコ共に室内飼育が圧倒的に多いですから、飼い主さん・ご家族と動物が接触する時間も長いので、噛み癖がある動物は、飼い主さんの負担になることもあります。
     現実に、飼い主さんから相談を受けることが多い事例のひとつです。

    【動物のキバ(犬歯)は武器であって、人間に対して安易に使わせてはいけません】
     イヌやネコなどの動物のキバは、本来は獲物を捕まえたり、敵と戦うための武器です。
     人間なら「握りこぶし」で相手を殴るのと同様のイメージでしょうか。
     その武器であるキバを、飼い主さんを含む人間に対して使うのは、家庭動物として極めて不適切な行動です。
     甘噛みを許していると、人間に対してキバという武器を使うことに慣れてしまいます。
     あなたのイヌやネコは野生動物ではありません。
     そして、その管理責任は飼い主にあります。
     飼育動物は「人間を噛む癖をつけないしつけ」が重要です。

    【動物自身に「おとなの自覚」を期待するのは無理があります】
     「甘噛みは動物が幼い時期だけで、おとなになれば自然に甘噛みしなくなる」という意見は、かなり昔、昭和の時代からあります。
     しかし、実際には動物が自然に甘噛みをやめたわけではなく、無意識のうちに飼い主さんや関係者が甘噛みをやめさせるような対応をしていた結果である場合が多いと考えられます。
     例えば動物に噛まれた飼い主さんが反射的に「痛い!」と言っただけで、飼い主さんは叱った自覚が無かったとしても、動物は自分の行動が不都合だったことに気付くケースがあり得ます。
     飼い主さんの反応によって動物の行動が修正されたのであれば、それは無意識のしつけであって、動物が「おとなの自覚」によって自然に甘噛みをやめたわけではないのです。
     動物には成人式があるわけでもなく、「こども」と「おとな」の区切りの自覚を動物自身に求めるのは、そもそも無理があります。
     つまり、幼い時に許されていた甘噛み行動がおとなに成長すると禁止される、というのは動物にとっては理由がわからない不当なルール変更です。
     また、「動物がおとなになって噛む力が強いので、甘噛みでも噛まれると痛い、負傷する」という人間側の都合は、今まで甘噛みを許されていた動物にとって知ったことではないのです。
     将来おとなの動物に成長した時に許されない習慣、特に「人間を噛む」という攻撃行動に繋がる習慣は、幼い頃からやめさせるべきです。
     そして、飼い主さん・ご家族など関係者全員が、そのしつけやルールを守ることも大切です。

    【軽い噛み方と強い噛み方の区別を教えるのは困難です】
     甘噛みについて「甘えて軽く噛むくらいいいじゃないか」という方も昭和の時代からいらっしゃいまいたが、冷静に考えてみてください。
     どの程度の噛み方が「軽く」て許されるのか、どの程度が「強い」噛み方で許されないのか、客観的な基準は存在しません。
     噛まれた人間が痛くなければいいのでしょうか?
     噛まれた人間が出血しなければいいのでしょうか?
     噛まれる人間の痛みの感覚も恐怖感も個人差があり、噛まれる状況・部位によっても条件は変わります。
     人間同士でも、ケガをさせるつもりは無かったのに、想像以上に相手にひどい傷を負わせてしまう事例があります。
     それなら、相手にケガをさせる可能性がある行動は、初めから避けておくのが妥当でしょう。
     動物も「弱く噛むのはOK、強く噛むのはダメ」という曖昧な基準のしつけよりも、初めから「人間に歯を立ててはいけない」という基準の方が明確で、理解しやすく、飼い主さんや関係者のみなさんにとっても教えやすいはずです。
     また、動物の遊びの興奮が徐々にエスカレートして、初めは軽く噛んでいても、途中から強く噛むことはしばしば起こることです。
     動物が、人間の身体の一部でもくわえて歯が当たる時点ですぐにやめさせるのが、良いでしょう。

    【飼い主さんが甘噛みと思っていても、他人を噛むと「事故・事件」になる恐れがあることを理解しておく必要があります】
     動物の飼い主さんは、噛むことを含め自分の動物が他人を傷つける事故を防ぐ義務があります。
     家庭動物が他人を負傷させた場合は、当然飼い主さんが責任を負うことになります。
     飼い主さん・ご家族を噛むことに慣れている動物が、他人は噛まない、という保証はありません。
     家族なら許容できても、他人の動物に歯を立てられることは、被害者にとっては恐怖であり、怒りの対象になることを理解しておかなければいけません。
     動物が苦手だったり、動物にアレルギー反応が起きるような方が被害者であれば、被害者の負担は、動物の飼い主さんの想像を超える可能性もあります。
     当然、動物に噛まれたことにより感染する病気の危険性もあります。
     特に、他人の顔を噛んで傷を負わせたり重傷のケースでは、被害者やそのご家族は相当感情的になって立腹されますから、場合によっては治療費の請求だけでなく、訴訟になるかもしれません。
     咬傷事案(動物が他人を噛んだ事故/事件)の場合、他人を噛まないように、飼い主が普段から適切なしつけや対応をしてきたかが問われます。
     そのようなケースでは、自分の飼育動物が他人を負傷させているのですから「甘噛みだから…」「ちょっとくらい…」「動物は噛むものだ…」などの言い分は通用しません。
     なお、被害者の負傷の程度に関わらず「他人を噛んだ犬の飼い主は『咬傷届』を管轄の役所に提出、犬の鑑定を受けなければいけない」と、国の法律である「狂犬病予防法」によって定められています。

一覧へ

関連記事

お問合せ

CONTACTお問い合わせ

診察予約、採用に関するお問い合わせ・ご応募もこちらからお願いいたします。

TEL:0798−67−8833

お電話は診察時間内にお願いいたします。