- ○イヌに食餌を与える時間はバラバラの方が良いって本当ですか?
- 2026/07/13
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イヌに食餌を与える時間はバラバラの方が良いって本当ですか?
食餌時間がある程度固定されているのが一般的で、大半のご家庭では無理に時間を変更しなくて良いでしょう。「時間がバラバラ」の意味にもよりますが、食餌の時間は基本的に一定で良いでしょう。
食餌時間を不規則にするとデメリットもあります。
【動物も人間もおよそ24時間のリズムを感じながら生活しています】
まず、「食餌を与える時間がバラバラの方が良い?」という話題の前提ですが、動物はおよそ24時間のリズムで、時間の感覚を持っていることが知られています。
これは当院ホームページでも過去の記事で取り上げましたが、「体内時計」や「概日リズム」などと呼ばれている能力で、人間にも備わっています。
目覚ましアラームをセットし忘れても、いつもと同じくらいの時刻に自然に目覚めた経験をお持ちの方も少なからずいらっしゃると思いますが、これが体内時計と呼ばれる現象です。
何時何分がわかるという意味の「時計」ではなく、およそ24時間の生体のリズムのことです。
機械の時計ほど厳密ではありませんが、動物も人間も体調に問題が無ければ、毎日およそ同じリズムで行動できる能力があるのです。
言い方を変えると、多少の誤差はありますが時間の感覚を持っていると考えて良いでしょう。
【食べ物を与えられる側の心理を考えましょう】
食餌をもらうイヌの立場で想像してみてください。
食べ物をいつもらえるのかわからない家庭と、毎日同じタイミングで確実に食べられる家庭では、どちらかの方が安心できるでしょうか?
毎日、およそ固定された時間帯に確実に食餌を与えてくれる飼い主さんの方がイヌから信頼され、ストレスも少ない可能性が高いと考えられます。
また、一定の時間帯に一定量の食餌を与えることで、食欲などの体調チェックにも役立ちます。
逆に、いつ食べ物をもらえるのかわからなければ、空腹によるイライラや不安、ストレスを感じるだけでなく、飼い主さんを信頼しなくなる恐れもあります。
人間同士の例でも、行動や生活リズムが不規則で予測できない相手には、大切な用事は任せにくいのと似ています。
イヌの信頼を得るには、イヌが楽しみにしている食事や遊び、散歩などを確実に実現してあげることが大切です。
また、前述のとおり動物にも人間にもある「体内時計」は24時間の生命活動のリズムですから、毎日の規則正しい生活は健康上も好ましいと考えられ、不規則な食生活を積極的にはお勧めしにくい理由でもあります。
【食餌時間を不規則にする理由とは…?】
「食餌時間を固定すると、イヌが食べ物を要求して飼い主さんに向かって鳴いたり吠えたりする原因になるので、時間はバラバラの方が良い」という情報があるようですが、これはすべてのイヌに当てはまる条件とは言えず、無理にこの情報に従う必要はないでしょう。
そもそも、食餌を求めて鳴く(吠える)のは、「鳴くと、食べ物がもらえる」、もしくは「鳴かなければ食べ物がもらえない」と、イヌが学習してしまっている疑いがあります。
つまり「要求を実現するためには、人間(飼い主さん)に向かって鳴けば解決する」という習慣が原因で鳴いている場合があり、食餌の時間だけの問題ではない可能性が考えられます。
また、「食餌の時間はバラバラの方が良い」という意見の背景には「体内時計」が過大評価されている恐れもあります。
体内時計が正確とは言っても、生体の活動リズムであって、機械の時計のように1秒単位で時を刻んでいるわけではありません。
イヌたちの感覚はおそらく「そろそろ夕食?」「ぼちぼち散歩かな?」程度であろうと考えられます。
人間はカウントダウンが好きなので、「動物に体内時計という時間の感覚がある」という情報を知ると、まるでイヌが食餌の時刻を秒読みしながら待っているような思い込みがあるのかもしれません。
【現実には、食餌時間を不規則にするのは意外と大変です】
視点を変えて食餌を与える飼い主さん側の都合で考えれば、毎日ほぼ同じ時間に給餌する習慣でも、現実にはその日その日の都合によって20〜30分程度のズレはあり得ることで、それほど珍しい話でもないでしょう。
もしも「食餌時間を固定しない方が良い」という意見に従うのであれば、イヌに時間の習慣づけをさせないことが目的ですから、5分や10分程度の時間をずらすのは意味がありません。
もっと大幅な時間の変更を、しかも習慣づけないためには毎日不規則に行う必要があります。
なぜなら、本来同じような時間帯に給餌する習慣だとしても、現実には毎日1分1秒ずれないわけではなく、前述のとおり日によって20分や30分程度は食餌時間が変わってしまうのはありふれたことだからです。
その一方で、一般平均的なご家庭の生活リズムはおよそ一定していることが多いと思われますので、食餌を与える時間を大幅に毎日変更するのは限界があります。
イヌの給餌時間の変更を優先するために、通勤・通学の時間や睡眠時間まで日々影響を受けるのも現実的ではありません。
つまり、給餌を毎日1分もずらさず同じ時刻に実施するのも難しいですが、毎日大幅に時間変更するのも難しいのが現実なのです。
給餌時間についてはそれほど堅苦しく考えず、「だいたい同じ時間帯」に給餌する習慣が現実的であり、大半のご家庭ではそれで充分と考えて良いでしょう。
念のために申し添えますが、給餌の間隔が長くなってイヌが空腹を強く感じると胃液を吐くことがありますので、無理に食餌と食餌の間隔を拡げることはお勧めしません。
【自動給餌器のメリット・デメリット】
時間設定ができる自動給餌器などを使用すれば、飼い主さんの生活リズムを変えずにタイマーをセットするだけで給餌時間を変更することは可能かもしれません。
ただし、常に自動給餌器を使うのであれば、そもそも給餌時間を不規則にする必要が無い可能性が高くなります。
給餌時間をバラバラにする目的が「飼い主さんに餌を要求して、イヌが鳴くのを防ぐこと」なのであれば、自動給餌器から餌を与えられているイヌは飼い主さんからもらっている認識は無い、または希薄なので、この問題は初めから発生しないかもしれないのです。
一方、自動給餌器を使うことで、飼い主さんから餌を与えられているという認識が無くなると、デメリットが発生する可能性があります。
生命の根幹に関わる「食餌」「飲水」を飼い主さんがコントロールしていることで、イヌは飼い主さんを頼りにしますし、大切な存在として認識する一面があります。
自動給餌器の常時使用は、イヌが飼い主さんを頼りにする理由のひとつである「飼い主さんからの給餌の機会」が無くなるため、信頼関係や服従性(飼い主さんに従う性質)が十分に育たない恐れがあります。




